双日総合研究所・ チーフエコノミスト・吉崎達彦さんの話が面白かったので紹介します。
強権的なイメージの指導者が世界に広がる理由は?
強権的な指導者とは?
あえて敵を作り味方の団結を強める
「ストングマン」と呼ばれる
世界のストロングマン
○プーチン大統領【ロシア】 任期:2024年まで
・クリミアの統合で国民の人気を確実
○習近平国家主席【中国】 任期:任期制度を撤廃
・従来の2期10年の任期制度を撤廃、超長期政権
○ドゥテルテ【フィリピン】 任期:2022年まで
・他国の首脳に対する過激発言
○エルドアン大統領【トルコ】 任期:2019年まで、再選で2029年まで
・シリア攻撃し、自らの権限を拡大するための憲法改正を行う
○オルバン大統領 【ハンガリー】 任期:2010年就任~
・反移民を掲げ、メディアや司法を押さえつけ権利基盤を固める
○トランプ大統領 【アメリカ】 任期:2021年まで
・アメリカ第一主義で外交をすすめる
長期政権と特徴
トランプとドゥテルテ以外は長期政権。
特徴は
・それぞれキャラが立ってる
・出方が読めない
・外交で渡り合うのは大変
国民の中の不満を解消
「君たちの不満はよくわかる、それはアイツが悪い」、「メディアが悪い」
など敵を作る
・話長い
・炎上好き、批判を楽しむ
この方も一部からは強権と呼ばれている
他の国の指導者の中で「北朝鮮」は強権を越えていると紹介され、まあ、納得しましたが、意外なこの方も一部の人からは「強権的な指導者」と呼ばれているようです。
ではなぜ人々に受けているのか?
⑴ SNS(交流サイト)の普及
好きな人の話はがり、情報が偏ってることに気づかない。
⑵ 経済ナショナリズム
「自分たちの繁栄を誰かに奪われた」というすごい怨念の塊。
国家間の経済は本来「WIN WIN」の関係のはずなのに
「アメリカの貿易赤字は中国の影響だ」
のように「誰か」を作り出す。
この考え方が正しいとは思えないが説得力を持つという。
強権政治の悪い傾向として、外に向かって妥協出来なくなる。引くに引けなくなると危ないし国家間の緊張状態が続く。
⑶ 砂社会の広がり
印象論ぽくなるが、
ロシア研究の第一人者・袴田 茂樹
は、日本の国際政治学者、社会学者、 新潟県立大学教授。青山学院大学名誉教授。専門はロシア社会論。
彼が1990年代に書かれた「沈みゆく帝国」という著書から
「なぜロシアは強権政治になるのか」
それは砂社会だからだと表現
砂社会
【強権】
ロシアは砂社会(強権)
ロシアは砂社会。
枠をつくってやらないと形を成さない。
固い枠にあてがわないと形にならない。
中国は土社会(強権)
中国は土社会。
個人主義だが、家族など血縁は信用してる。
地縁、血縁といった共同的な結びつきが強い。
【非強権】
西洋は石社会(非強権)
アメリカや西洋社会(EU)は石である。
個人がしっかりしていて、それを積み上げると社会ができる。
個人主義を基礎とする近代市民社会
日本は粘土社会(非強権)
日本は個が自立してない粘土社会。
個は自立してないけど組織としてはまとまりはある。
西欧以上の秩序や規律感覚を有した社会。
現代の傾向
強い個人は「成りあがる」ではなく「求められている」!?
日本は昔ほど粘土ではない。西洋も石ではなく砂に向かってる。
枠をつくってやらないと保てない弱い社会。強いリーダーがいないと組織を保てない。
強い個人がいるからではなくみんなが求めている。
昔はリーダーは誰がやってても変わらない。大きな舞台では用意されたカンペを読んで、たまに気の利いたジョークを言えれば合格点だった。
しかし、今のリーダーにはそれ以上を求められる。
習近平やトランプのように強い枠を出せる人に個がついていく傾向にある。
これからの社会
世界中が砂社会に向かうとパサパサな社会になる?
少し湿り気が欲しい。
湿り気とは何か?
日本は昔から人の目を気にする。それが湿り気、しがらみのようなものではないのか?
現代の若い人にはそういった「日本人気質」が薄れてきているのではないかと言葉を締めくくっていました。